【目次】
- ザクロの栄養素
- ザクロの成分分析とその特徴
- ザクロの栄養素
ザクロは、「スーパーフード」(一般の食品より栄養価が高い食品)と称されるほど、栄養・健康成分が多く、食歴が長くて何世紀にもわたって人々の健康に寄与してきた食品です。
可食部は種子の外側のルビー色をした部分。
ザクロ1個(可食部93g)あたり52㎉。一日2個程度が適量です。
水分が 83.9%を占め、三大栄養素では炭水化物が99%(14.4g)、たんぱく質が1%(0.19g)、食物繊維と脂質は0g。 ※日本食品標準成分表2020年版(八訂)参照
ビタミン類はビタミンCが特に多く、2個で一日のビタミンC推奨量のおよそ1/5を摂れます。そのほか、ビタミンB1・B2・ナイアシン・B6・E・葉酸・パントテン酸と13種類中8種類のビタミンを含んでいます。
ミネラル類はカリウムが特に多く、2個で一日のカリウム推奨量(女性)のおよそ1/4を摂れます。カルシウム・マグネシウム・亜鉛・銅・鉄・リン・マンガン・ナトリウムと13種類中9種類のミネラルを含んでいます。
また、ポリフェノールが非常に豊富。大変健康効果が高くザクロに非常に多いポリフェノールがエラグ酸。その他、真っ赤な色の成分であるアントシアニンやタンニンがあります。ザクロに特有なポリフェノールのプニカリンやプ二カラジン・ポメグラニインA・ポメグラニインBなど、抗酸化作用(老化抑制)が非常に高い食品です。
クエン酸や酒石酸・リンゴ酸などの有機酸も含まれています。
種子にはエストロゲン(女性ホルモン)様物質であるエストロンも極微量ですが含まれていて、古くから「女性の果実」と呼ばれているほど健康や美容効果が期待されている果実です。
一方、ザクロの木の皮や実の皮にはペレチエリンという物質が存在し、寄生虫を退治する効果があるため、過剰に摂取すると、吐き気やめまい、視野狭窄や下痢など人体に有害な作用があります。おいしいザクロですが、皮からかぶりつくのは控えましょう。
- ザクロの成分分析とその特徴
- ザクロの炭水化物(糖質)
糖組成は、グルコース(単糖類:ブドウ糖)とフルクトース(単糖類:果糖)で他の糖は含まず、フルクトースがやや多いのが特徴。
フルクトースは糖類の中で最も甘い種類で、同じ甘さであればカロリーは砂糖の1/3程度の糖です。
2. ザクロのたんぱく質(アミノ酸)
グルタミンが主要で、次いでセリン・アスパラギン酸など18種類以上のアミノ酸のほか、他の果実にはあまり含まれないサルコシンという天然アミノ酸も含まれています。
果実のアミノ酸分類からは「グルタミン系果実(アボガド・メロン・キウイ・いちご等)」に分類されます。グルタミンは、味覚としては旨味成分で、人体で最も多く存在するアミノ酸。筋肉を作るための材料となり、持久力の維持や向上のほか、胃腸を整える、肝機能を正常に保つ、免疫力を高める効果などが期待できます。
- ザクロのポリフェノール
ポリフェノールといえば、抗酸化作用(老化抑制作用)がある栄養素ですが、ザクロ果汁の抗酸化作用をプルーンやぶどう・ブルーベリー果汁と比較したところ、最も強い活性が認められました。※情報:カゴメ株式会社総合研究所論文
中でも、長寿遺伝子(老化遺伝子)を活性化させる作用が高い「エラグ酸」がザクロにはブルーベリーの164倍も多く含まれており、様々な病気予防や美白効果が証明されています。
その他、ザクロ特有のポリフェノール成分、プニカリン・プニカラジン・ポメグラニインA・ポメグラニインBは非常に高い抗糖化作用があり病気や老化予防効果が期待されています。
※図1:森下仁丹 2013年研究発表参照
ポメグラニインA・ポメグラニインBは近年、世界で初めて発見された成分で、今後も更なる効果が期待されるでしょう。
ザクロ果実各部位のポリフェノール含量測定では、非可食部位(果肉・果皮)が果汁のおよそ40倍もあり、高機能食品素材や化粧材に利用されています。
※大阪府立園芸高等学校研究論文参照
- ザクロの有機酸
有機酸は、疲労回復や抗菌作用、ミネラルの吸収促進、脂肪・糖代謝に関与するなど多くの作用があります。
ザクロには、クエン酸や微量のリンゴ酸や酒石酸が含まれており、
「クエン酸」は酸っぱさや、えぐみのある酸味成分で、柑橘類の果実や梅にも多い有機酸。「リンゴ酸」は爽やかでやや刺激のある酸味と多少の苦味や収斂味を感じる成分。スポーツドリンクなどの清涼飲料水に使用されています。「酒石酸」はやや渋みや収斂味のある酸味で、ぶどうなどに含まれている有機酸です。
このように、ザクロには特有の成分も含まれていて非常に健康効果が高いことが証明されている、まさに「スーパーフード」といえるでしょう。
記事制作:管理栄養士 松下眞子(まつしたまさこ)
2001年 東京家政大学家政学部栄養学科を卒業。 同年に、管理栄養士国家資格を取得し、管理栄養士としての活動をスタート。 大手自動車メーカーの集団給食業務を経て、糖尿病専門クリニック、内科、健診センターで栄養と生活指導や特定保健指導を行う。
指導件数は延べ2500件以上になり、食と生活習慣・心理状況の関係性が深いことを痛感し、心理学を活かした食事・生活指導を企業や個人向けに行う。
その他、いちご大学アカデミアの講師・栄養セミナー・料理教室・雑誌・web記事の監修など。「食から笑顔と愛を広げよう!」をモットーに活動をしている。