スーパー栄養素「エラグ酸」~管理栄養士 松下真子先生コラム(2)

ザクロといえば、中身はキレイなルビー色、外も褐色の赤色が印象的ですね!?

その色素のもととなっている成分のひとつが「エラグ酸」。

エラグ酸は「長寿遺伝子」を活性化し、美容や健康、抗ガン作用も有しているほど健康効果が非常に高く、ザクロに非常に多く含まれている、いま大注目の栄養成分です。

【目次】

  • 1.エラグ酸とは
  • 2.アンチエイジング効果絶大のエラグ酸
  • 3.長寿ホルモンを増やすエラグ酸
  • 4.エラグ酸のはたらき
  • 5.エラグ酸を効果的に摂るポイントとまとめ

▼サーチュイン遺伝子活性化で改善が期待される症状

  • 1.エラグ酸とは
  • 2.アンチエイジング効果絶大のエラグ酸
  • インスリン抵抗性
  • 免疫機能低下
  • 自己免疫疾患
  • 不妊
  • 認知機能低下
  • 難聴
  • 運動機能障害
  • 心血管障害
  • 糖尿病
  • 腎機能障害
  • がん
  • 肥満
  • サルコペニア
  • 炎症

1.エラグ酸とは

「エラグ酸」とは「ポリフェノール」の一種。

ポリフェノールといえば、カテキンやアントシアニン、イソフラボン等はよく耳にすると思いますが、植物が光合成するときにできる物質で、今わかっているだけでも天然物だけでも8000種類以上もあるといわれるほど多数あります。(天然物だけでなく、酸化防止剤として開発された合成品もあります。)

植物が紫外線や乾燥、害虫や菌から身を守るために作り出す「抗酸化物質」といわれる成分で、植物の色素や苦みの素となって身を守るために働いているので、それをヒトが摂ることで人体でも同じように「抗酸化作用(人体を守る)」の働きをしてくれる嬉しい成分です!

そして、ポリフェノールのなかでも特に効果が高いといわれるのが「エラグ酸」

エラグ酸は、いちごやブルーベリーなどベリー系やナッツ類に多い成分ですが、ザクロは特に豊富で、いちごの約6倍、ブルーベリーの約164倍も含まれています。

エラグ酸は、今から約200年前(1831年)にフランスの科学者によって発見され、日本では1996年に厚生労働省に医薬部外品として認可されています。その後、安全性についても確認され2003年には食品添加物(主に酸化防止剤)として利用されるようになりました。さらに、美白成分として厚生労働省に認可も受け、化粧品、サプリメントなど幅広い分野で利用され、いまも研究が進められている注目の成分です。

ザクロの可能性を想像するだけでもワクワクしますね!

2.  なぜエラグ酸は美容と健康に非常に効果的?

いつまでも「健康で若々しく過ごしたい」と思う方は多いのではないでしょうか!?

ザクロに多く含まれる「エラグ酸」は「長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)の活性化」と「細胞のオートファジー増強」という細胞にダブルで作用し、美肌や様々な病気予防などアンチエイジング効果が非常に高い成分です。

その2つの作用について詳しく解説します。

まず「エラグ酸」を摂ると腸内で代謝され「ウロリチン」という成分に変換されます。

その「ウロリチン」が、サーチュイン遺伝子や細胞のオートファジー(自浄作用)に働きかけて細胞の再活性化に導くのです。

<1>長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)の活性化について

「サーチュイン遺伝子」とは、細胞のアンチエイジングが期待できる、別名「長寿遺伝子」とも呼ばれている遺伝子。なぜ「エラグ酸」は、その遺伝子を活性化する効果が非常に高いのか、詳しく解説します。

「サーチュイン遺伝子」は7種類(SIRT1~7)あり、それぞれ異なる機能をもちます。

<図:フラコラ公式サイトから引用>

中でも「SIRT1」「SIRT3」「SIRT6」は、健康や美容への効果に貢献することが分かっており、ザクロはその3種類に特に作用するポリフェノールが複数含まれているため、病気予防・美肌に導く作用が非常に大きいことが分かっています。

ザクロほど、サーチュイン遺伝子に作用する特徴的なポリフェノールを含む食品は他に類を見ないといわれるほど、アンチエイジングに優れた効果をもつ食品です。

~ 「SIRT1」「SIRT3」「SIRT6」それぞれのはたらき ~

「SIRT1」全身のアンチエイジングに作用しますが、特に皮膚細胞に機能するので「美肌」に効果的。(細胞の炎症を抑え、肌のシミやしわ、バリア機能の改善、セラミド合成、ミトコンドリアを活性化して筋肉や脳機能改善、免疫力増強など活力が増す)

「SIRT3」ミトコンドリアに局在し「活性酸素の抑制」に効果的。肌や様々なストレスからの保護、加齢性難聴やがん細胞の形成抑制も期待されている。

「SIRT6」老化と関連した複数の経路で機能し「細胞老化・寿命」に影響が強い。DNA修復、免疫、糖や脂質代謝、心血管疾患、神経疾患などに関わっている。

ウロリチン摂取による「美肌効果」について2021年に40代~60代の女性を対象として、偽薬摂取とウロリチン摂取グループを比較した研究において、ウロリチン摂取グループは8週間後に「皮膚水分量の増加・しみは80%近く減少・開いた毛穴の数が減少した」という結果があります。

<2>細胞のオートファジー機能について

オートファジーとは、細胞内の不要な物質を回収・分解してリサイクルする働きのこと。細胞内の新陳代謝を促して新しい細胞に生まれ変わらせます。

3.長寿ホルモンを増やすエラグ酸

~ 糖、中性脂肪、動脈硬化抑制・脂肪燃焼 ~

「エラグ酸」は、善玉ホルモンである「アディポネクチン」の分泌量を約2.6倍増加させるという研究結果があります。アディポネクチンは、別名「長寿ホルモン」ともいわれていて、血糖値・血中中性脂肪の増加抑制、動脈硬化抑制、脂肪燃焼効果があります。

4.  エラグ酸のはたらき

このように、多方面から私たちの健康に寄与しているエラグ酸の健康効果をまとめます。

  • 美肌(肌の水分量・ハリ・シミ・しわ・毛穴・バリア機能改善など)
  • 抗酸化作用(ストレス・疲労軽減、細胞の老化抑制など)
  • 血糖値や中性脂肪の増加抑制
  • 動脈硬化抑制
  • 脂肪燃焼

5. エラグ酸を効果的に摂るポイントとまとめ

<腸内環境を整える>

腸内細菌叢の状態によって、腸内でエラグ酸がウロリチンに変換される割合が変わってきます。腸内環境が良い状態でも、エラグ酸をウロリチンに変換できる日本人は半数ほどと言われていますので、食物繊維や発酵食品の摂取、食品添加物を控えるなど、日ごろから腸内環境を整える習慣を心がけましょう。

<カテキンと一緒に摂取しない>

緑茶、紅茶、ウーロン茶などに含まれるカテキンと拮抗するため、カテキンと同時に摂らないことでエラグ酸の効果がより期待できます。

このように私たちの若々しさや健康にはたらく成分を豊富に含む「ザクロ」を積極的に摂って、いつまでも人生を楽しんでいきましょう!

記事制作:管理栄養士 松下眞子(まつしたまさこ)

2001年 東京家政大学家政学部栄養学科を卒業。 同年に、管理栄養士国家資格を取得し、管理栄養士としての活動をスタート。 大手自動車メーカーの集団給食業務を経て、糖尿病専門クリニック、内科、健診センターで栄養と生活指導や特定保健指導を行う。

指導件数は延べ2500件以上になり、食と生活習慣・心理状況の関係性が深いことを痛感し、心理学を活かした食事・生活指導を企業や個人向けに行う。

その他、いちご大学アカデミアの講師・栄養セミナー・料理教室・雑誌・web記事の監修など。「食から笑顔と愛を広げよう!」をモットーに活動をしている。

CONTACTお問い合わせ

ご興味がある方や、ご質問・ご相談がある方はお気軽にお問い合わせください。

ページ上部へ戻る