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【論文紹介】 ザクロの抗炎症と浮腫抑制効果成分について
- 2023/12/17
- ザクロと健康 抗炎症作用とそのメカニズム
ザクロは、ポリフェノールが豊富な果物で、抗炎症・抗酸化・抗腫瘍、抗菌、抗潰瘍など様々な可能性をもち、治療薬として何世紀にもわたって使用されている「スーパーフード」‼
その中で、今回は【ザクロの抗炎症と浮腫抑制効果成分】について調査した論文をご紹介します。
【目次】
1. ザクロの「抗炎症」と「浮腫抑制」効果
(1)目的
(2)方法
(3)結果
2. まとめ
1.【ザクロの「抗炎症」と「浮腫抑制」効果】
「炎症」は感染症などさまざまな刺激からカラダを守るために働きますが、過剰な炎症は、ぜんそくや関節リウマチなどを引き起こすことがあります。
ザクロには、ポリフェノールの一種である加水分解性タンニン(※)が多数含まれていることは分かっていますが、その中でも特に「抗炎症活性を持つ成分」を特定し、さらにその「浮腫の抑制効果」について調査した研究結果です。
※加水分解性タンニンは、酸・アルカリ・酵素と水によって多価フェノール酸と糖など多価アルコールに分解される。
【目的】
ザクロの「抗炎症特性」について、一酸化窒素(※1)生成阻害効果、誘導性一酸化窒素合成酵素(※2)・シクロオキシゲナーゼ2(※3)の変化を調べ、特に有効な成分を特定しザクロの「浮腫抑制効果」も実証すること。
※1 一酸化窒素(NO)は、最近やウイルスを殺すことや血管拡張に関与する働きがある反面、反応性が高く、多すぎると細胞毒性を示し低血圧や敗血症などの原因となる。
※2 誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)は、過剰に発現すると、NOやプロスタグランジンE2(PGE2)を生成し、炎症や痛みを引き起こす。
※3 シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)は、炎症や痛み、血圧上昇を促進する物質の生成を加速する酵素。
【方法】
1,抗炎症効果について
リポ多糖類(LPS)誘発性RAW264.7マウスのマクロファージ細胞株を使用。
ザクロから4つの加水分解性タンニン(プニカラギン、プニカリン、ストリチニンA、グラナチンB)を分離し、LPS誘発性RAW264.7細胞に添加した。
2,浮腫抑制効果について
体重25±2gのスイス系雄マウスを4グループ(各5匹)に分けて、カラギーナン注射によって足浮腫を誘発し、
その注射の1時間前~5時間(計6時間)、足の周囲を測定。
さらに注射6時間後にマウスを屠殺し、血清からプロスタグランジンE2(PGE2)(※4)を測定した。
グループ①インドメタシン(抗炎症剤) ②ザクロの有効成分(100mg/kg)
③グラナチンB(2.5mg/kg) ④グラナチンB(10mg/kg)
※4 プロスタグランジンE2(PGE2)は、炎症の段階や状況に応じて産生し、痛みや腫れ・発赤を引き起こす原因となる。
【結果】
1,抗炎症効果について
ザクロの4つの加水分解性タンニン(プニカラギン、プニカリン、ストリチニンA、グラナチンB)は、
初期(8時間培養)からiNOSの発現を減少させることで、プロスタグランジンE2(PGE2)を阻害している可能性があり、なかでも「グラナチンB」が効果的である。
後期(18時間培養)でもグラナチンBは、特に強力な一酸化窒素(NO)の生成阻害を示した。
2,浮腫抑制効果について
ザクロエキスを注射したグループで、注射後1~5時間で浮腫が50%以上減少し、インドメタシン(抗炎症剤)よりも高い浮腫抑制効果を示した。
抗炎症効果が特に高かった「グラナチンB」を注射した結果、足の浮腫を軽減した。
特に注射6時間後にはプロスタグランジンE2(PGE2)の阻害効果がインドメタシン(抗炎症剤)よりも顕著だった。
<参考文献>
Anti-inflammatory effects of Punica granatum Linne in vitro and in vivo Chia-Jung Lee a , Lih-Geeng Chen b , Wen-Li Liang a , Ching-Chiung Wang a,* a School of Pharmacy, College of Pharmacy, Taipei Medical University, 250 Wu-Hsing Street, Taipei 110, Taiwan bGraduate Institute of Biomedical and Biopharmaceutical Sciences, College of Life Sciences, National Chiayi University, 300 University Road, Chiayi 600, Taiwan
2.【まとめ】
今回の研究によってザクロは非常に効果的な抗炎症物質を含み、浮腫も軽減させ、特に「グラナチンB」は一酸化窒素(NO)やプロスタグランジンE2(PGE2)の生成阻害効果が非常に高く、ザクロの抗炎症効果にとても重要な物質ということが分かりました。
様々な病気のもととなる「炎症を抑える効果」が特に高いとされる「グラナチンB」は、ザクロの果皮に特異的に含まれるポリフェノールです。
ザクロにはまだまだ未解明の効果的な成分が含まれていると言われていて、とても魅力的なフルーツです!
これからもザクロの健康効果をお伝えしていきますのでお楽しみに♪
日ごろの生活習慣にザクロを加えて健康的に過ごしていきましょう。
★記事制作:管理栄養士 松下眞子(まつしたまさこ)
2001年 東京家政大学家政学部栄養学科を卒業。 同年に、管理栄養士国家資格を取得し、管理栄養士としての活動をスタート。 大手自動車メーカーの集団給食業務を経て、糖尿病専門クリニック、内科、健診センターで栄養と生活指導や特定保健指導を行う。
指導件数は延べ2500件以上になり、食と生活習慣・心理状況の関係性が深いことを痛感し、心理学を活かした食事・生活指導を企業や個人向けに行う。